留学やワーキングホリデーを考えていると、「海外で日本人やアジア人が差別を受けることはあるの?」と不安になる方もいるでしょう。
実際に差別的な発言や不公平な扱いを受けても、文化の違いなのか判断できず、一人で我慢してしまうケースがあります。
また、相手へ何と伝えればよいのか、学校の誰に相談すればよいのか分からない方も少なくありません。
留学中に差別を受けたときは、その場で相手を言い負かすことよりも、自分の安全を守り、事実を記録して適切な相手へ相談することが重要です。
この記事では、留学中に起こり得る差別の具体例、文化の違いとの見分け方、差別を受けたときの対処法を解説します。
さらに、相手や学校へ伝える英語フレーズ、相談メールの書き方、学校が対応してくれない場合の相談先も紹介します。
英語に自信がない方でも行動できるよう、短く使いやすい表現を中心にまとめました。
留学前の不安を整理し、現地で困ったときに自分を守れるよう、必要な対処法を確認していきましょう。
留学中に差別を受けることはある?
留学中に差別を受ける可能性はありますが、すべての留学生が経験するわけではありません。
大切なのは、不安を必要以上に膨らませることではなく、差別的な言動を受けたときに自分を守れるよう準備することです。まずは、留学と差別の関係について冷静に整理していきましょう。
留学生全員が差別を経験するわけではない
留学したからといって、必ず差別を受けるわけではありません。
同じ国や都市へ留学しても、通う学校、住む地域、滞在方法、周囲の人間関係によって経験は大きく異なります。差別的な言動を受けた人がいる一方で、現地の人に親切にしてもらい、多文化交流を楽しんでいる留学生もいます。
そのため、SNSや動画で見かけた一人の体験を、その国で暮らす留学生全員に当てはめないことが大切です。
ただし、差別を受ける可能性がゼロではないことも事実です。不安を煽る必要はありませんが、どのような行為が差別に当たる可能性があるのかを知っておくと、実際に困ったときに行動しやすくなります。
オーストラリア人権委員会では、人種、出生国、民族的背景、肌の色などを理由に、同じ状況の人より不利に扱われたり、同じ機会を与えられなかったりすることを人種差別として説明しています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Racial discrimination」
メモ
差別について学ぶ目的は、海外への不安を大きくすることではありません。自分や周囲の人が不当な扱いを受けたときに、状況を整理して適切な相手へ相談できるようにすることが目的です。
差別を受けた側の英語力や性格が原因ではない
差別的な扱いを受けても、「自分の英語が下手だったから」「うまく会話に入れなかったから」と自分を責める必要はありません。
英語が流暢ではないことや、積極的に話せないことは、差別をしてよい理由にはならないからです。差別的な言動をした責任は、基本的にその言動を選んだ側にあります。
もちろん、英語力が不足していると、相手の意図を誤解したり、自分の気持ちを十分に説明できなかったりすることはあります。しかし、それはコミュニケーション上の課題であり、国籍や外見をからかわれてよい理由ではありません。
英語学習は差別を避けるためではなく、自分の状況や気持ちを伝えやすくするために行うものです。
「それはどういう意味ですか」「その言い方は不快です」「先生に相談したいです」といった短い英語を準備しておくだけでも、困った場面で行動しやすくなります。
留学前の英語力に不安がある方は、留学前に取り組みたい英語の勉強法も確認しておきましょう。
- 差別を受けた原因を自分の英語力だけに求めない
- 嫌だったと感じた自分の気持ちを否定しない
- 英語が出てこないときは、その場を離れてから相談する
- 一人で判断せず、先生や友人など第三者へ状況を話す
国や地域だけで差別の多さを判断しない
「差別が多い国」「差別されにくい国」といった情報だけで留学先を決めるのはおすすめできません。
同じ国の中でも、多文化な都市と地方では環境が異なります。さらに、語学学校の国籍比率、ホームステイ先の考え方、アルバイト先の職場環境によっても、留学生の過ごしやすさは変わります。
インターネット上では、強い不満や印象的な出来事ほど投稿されやすい傾向があります。そのため、数件の体験談だけを見て「この国の人は差別的だ」と判断すると、現地の人々を一括りにすることにもつながります。
国名だけではなく、学校や滞在先のサポート体制まで確認することが重要です。
留学先を選ぶ際は、緊急連絡先、日本語相談の有無、クラス変更や滞在先変更の手続き、差別・ハラスメントに関する相談窓口を確認しましょう。現地で困ったときに頼れる人がいるかどうかは、国のイメージ以上に大切な判断材料です。
留学先を選ぶときの確認項目
- 学校に留学生向けの相談窓口があるか
- 日本語または簡単な英語で相談できるか
- 差別やハラスメントの報告手続きが公開されているか
- クラスやホームステイ先を変更できるか
- 夜間や休日の緊急連絡先があるか
- 現地オフィスのある留学エージェントを利用できるか
留学中に起こりやすい差別の具体例
留学中の差別は、分かりやすい暴言だけではありません。
国籍や外見を理由に扱いを変えられることや、学校や職場で機会を与えられないこともあります。ここでは、留学やワーキングホリデー中に起こり得る具体例を紹介します。
見た目や国籍をからかう発言をされる
目の形、肌の色、髪形、体格などの外見を、国籍や人種と結びつけてからかわれることがあります。
たとえば、目の形をまねするジェスチャーをされたり、出身国を侮辱する呼び方をされたりするケースです。本人は冗談のつもりでも、特定の人種や民族に対する偏見を含んでいれば、差別的な言動になる可能性があります。
一度だけの発言であっても、不快に感じた場合は無理に笑って受け流す必要はありません。
相手に悪意があるかどうかよりも、何を言われたのか、その発言がどのような影響を与えたのかを整理することが大切です。
安全に伝えられる状況であれば、「That comment made me uncomfortable.」と短く伝えられます。その場で言い返すことが難しい場合は、日時、場所、相手の名前、発言内容をスマートフォンへ記録しておきましょう。
日本人やアジア人への決めつけをされる
日本人やアジア人というだけで、性格や能力を決めつけられることがあります。
「日本人は全員おとなしい」「アジア人は数学が得意」「日本人は自分の意見を言わない」などの発言が代表例です。一見すると褒め言葉に聞こえる内容でも、個人を見ずに人種や国籍だけで判断している点には注意が必要です。
また、日本人に対して中国や韓国に関する質問を繰り返したり、アジアの国をすべて同じ文化として扱ったりするケースもあります。
相手が単に知識を持っていない可能性もありますが、説明したあとも決めつけを繰り返す場合は、偏見に基づいた言動と考えられます。
「Not all Japanese people are the same.」と伝えれば、「すべての日本人が同じではありません」と意思表示できます。強く言い返す必要はなく、自分が個人として見られていないと感じたことを冷静に伝えることが大切です。
英語の発音やアクセントを笑われる
留学中は、英語の発音や日本語なまりをまねされたり、笑われたりすることがあります。
聞き取れなかった相手が発音を確認することと、アクセントそのものを面白がってからかうことは異なります。相手が理解するために聞き返しているのであれば、通常のコミュニケーションです。しかし、何度も発音をまねして周囲を笑わせる場合は、嫌がらせや差別的な言動に当たる可能性があります。
アメリカの雇用機会均等委員会も、出身国に関する差別には、特定の国や地域の出身であることだけでなく、民族的背景やアクセントを理由とした不利な扱いが含まれると説明しています。
参考資料:U.S. Equal Employment Opportunity Commission「National Origin Discrimination」
英語にアクセントがあること自体は、恥ずかしいことではありません。英語は世界中で使われており、話す人によって発音やリズムが異なります。
発音への自信をつけたい方は、留学前におすすめのオンライン英会話で会話に慣れておくのも一つの方法です。ただし、練習する目的はアクセントを完全に消すことではなく、伝わる英語と自信を身につけることです。
授業やグループワークから外される
語学学校や大学では、授業やグループワークで自分だけ会話に入れてもらえないことがあります。
単に話すタイミングが合わなかった場合や、参加者全員が緊張している場合もあるため、一度外されたように感じただけで差別と断定することはできません。しかし、国籍や英語力を理由に役割を与えられない状態が続く場合は注意が必要です。
たとえば、「英語が苦手だから発表しなくていい」「日本人は意見を言わないから記録係でいい」と一方的に決められるケースがあります。
ほかの学生には発言や挑戦の機会があるのに、自分だけ繰り返し外されているかを確認しましょう。
参加したい場合は、「I'd like to share my opinion, too.」や「Can I take a speaking role?」と伝えられます。それでも状況が変わらない場合は、授業後に先生へ相談し、具体的な場面と回数を説明することが大切です。
注意点
会話に入れなかったという事実だけで、すぐに差別と決めつける必要はありません。ただし、国籍や外見を理由に参加を拒否された場合や、同じ扱いが繰り返される場合は、記録を残して先生へ相談しましょう。
ホームステイ先や寮で扱いを変えられる
ホームステイや学生寮では、ほかの留学生と自分の扱いが異なると感じることがあります。
食事の量、門限、シャワーの時間、共有スペースの使い方などに違いがある場合、まずは契約内容や家庭内のルールを確認しましょう。入居時期や契約プランが違えば、同じ家に住んでいても条件が異なる可能性があります。
一方で、「日本人だから少ない食事でよい」「アジア人にはリビングを使わせない」など、国籍や人種を理由にルールを変えられている場合は、不公平な扱いと考えられます。
直接確認しにくいときは、ほかの留学生へ契約内容を聞き、自分の条件と比較してみましょう。
ホストファミリーとの関係を壊したくないからと我慢し続けると、心身の負担が大きくなります。学校や留学エージェントへ、感情だけでなく「いつから」「何が違うのか」「どのように説明されたのか」を伝えることが重要です。
ワーホリやアルバイト先で不利益を受ける
ワーキングホリデー中のアルバイトでは、国籍や民族的背景を理由に、不利な扱いを受ける場合があります。
たとえば、同じ仕事をしているのに自分だけ希望シフトを入れてもらえない、接客業務から外される、昇給や研修の機会を与えられないといったケースです。ただし、勤務実績、英語力、保有資格、就労可能時間など、業務上の合理的な理由がある可能性も確認する必要があります。
判断するときは、上司から伝えられた理由と、ほかのスタッフに適用されている基準を比べましょう。
「お客様がアジア人を好まないから接客させない」など、顧客の好みを理由に国籍で仕事を分けることは、正当化できない可能性があります。
オーストラリア人権委員会は、人種を理由とした雇用、研修、昇進、労働条件などでの不公平な扱いを、人種差別に関する保護の対象として説明しています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Racial discrimination and the law」
店舗や公共交通機関で嫌がらせを受ける
レストラン、ショップ、駅、バス、電車などで、差別的な言葉やジェスチャーを向けられることがあります。
また、同じ条件の客が利用できているにもかかわらず、自分だけ入店やサービスを拒否されるケースも考えられます。ただし、満席、営業時間、年齢制限、予約条件など、差別とは別の理由がある可能性も確認しましょう。
相手が興奮している場合や、複数人から囲まれている場合は、その場で差別かどうかを問い詰めないでください。
店舗や公共交通機関では、反論よりも安全な場所へ移動することを優先します。
店内であれば責任者や警備員へ相談し、交通機関であれば駅員や運転手へ助けを求めます。可能であれば、路線名、車両番号、店舗名、時間、相手の特徴を記録しておきましょう。
オーストラリアでは、交通機関、レストラン、店舗などで提供されるサービスについても、人種を理由に不公平な扱いを受けない権利があると説明されています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Racial discrimination」
SNSやメッセージで差別的な言葉を送られる
留学先で知り合った人から、SNSやチャットを通じて差別的な言葉や画像を送られることもあります。
オンライン上のやり取りは、相手がメッセージを削除したり、アカウントを非公開にしたりすると確認できなくなる可能性があります。そのため、返信する前に、アカウント名、投稿日時、メッセージの内容が分かる形でスクリーンショットを残しましょう。
グループチャットで行われた場合は、会話全体の流れも保存しておくと、学校や運営会社へ説明しやすくなります。
相手へ長文で反論すると、やり取りがさらに激しくなることがあります。必要以上に返信せず、ブロックや通報機能を利用してください。
学校の授業、学生寮、職場の関係者による投稿であれば、SNS内の通報だけで終わらせず、学校や勤務先の担当者にも報告しましょう。脅迫や個人情報の公開を伴う場合は、現地の警察など公的な窓口への相談も必要です。
留学中の差別と文化の違いを見分ける方法
不快な出来事があっても、差別なのか文化の違いなのか判断できないことがあります。
その場ですぐに結論を出す必要はありません。相手の発言、扱いの違い、繰り返された回数などを整理し、第三者の意見も聞きながら判断しましょう。
| 状況 | 確認したいポイント | 行動 |
|---|---|---|
| 差別の可能性が高い | 人種や国籍を理由とした発言がある | 記録して相談する |
| 文化の違いの可能性がある | 全員に同じ対応をしている | ルールや意図を確認する |
| 判断が難しい | 理由が分からず不公平に感じる | 第三者へ状況を話す |
この表は判断の目安です。差別に該当するかどうかの法的な基準は国や地域、具体的な状況によって異なるため、一人で断定せず、学校や公的な相談窓口へ確認することが大切です。
人種や国籍を理由にした発言があるか確認する
差別かどうかを考えるときは、相手が人種、国籍、民族的背景、肌の色などを理由として明確に挙げていないか確認しましょう。
たとえば、「日本人だから参加させない」「アジア人には貸さない」「あなたの国の人は信用できない」と言われた場合は、属性と不利益な扱いが直接結びついています。
一方で、理由を説明されずに断られただけでは、その時点で差別と断定することは難しい場合があります。満席、契約条件、能力、資格など、別の理由が存在する可能性もあるからです。
ただし、相手が理由を説明しない場合でも、無理に納得する必要はありません。
「Could you explain why?」と理由を確認し、回答を記録しましょう。口頭で説明された場合は、会話の直後に日時と内容をメモします。
人種や国籍を理由とした言葉が使われた場合は、発言をできるだけ正確に残すことが重要です。自分の感想だけでなく、実際に言われた言葉を記録すると、第三者へ相談しやすくなります。
自分だけ不公平な扱いを受けていないか確認する
差別は、侮辱的な言葉ではなく、扱いの違いとして現れることがあります。
同じ条件の学生や従業員と比較して、自分だけ機会を与えられていない場合は、その理由を確認しましょう。たとえば、同じ授業を受けているのに自分だけ発表から外される、同じ契約なのに自分だけ共有スペースを使えないといった状況です。
ただし、表面上は同じように見えても、契約プラン、成績、勤務時間、保有資格などの条件が異なる可能性があります。
まずは、自分と比較対象の条件が本当に同じか整理してください。そのうえで、担当者へ判断基準を質問します。
「Why was I treated differently?」と尋ねれば、「なぜ私は違う扱いを受けたのですか」と確認できます。
回答が合理的で、ほかの人にも同じ基準が適用されている場合は、差別ではない可能性があります。一方で、説明が変わる、国籍について触れられる、自分だけ同じ扱いが続く場合は、記録を残して相談しましょう。
同じ言動が繰り返されていないか振り返る
一度の出来事だけでは判断しにくい場合でも、同じ言動が繰り返されているなら注意が必要です。
最初は聞き間違いや冗談だと思っても、外見を何度もからかわれる、自分だけ会話から外される、国籍を理由に能力を決めつけられる状態が続けば、偶然では説明しにくくなります。
そのため、「嫌だった」という感情だけで終わらせず、いつ、どこで、誰から、何をされたのかを記録しましょう。
- 発生した日時と場所
- 相手の名前や特徴
- 実際に言われた言葉
- 周囲にいた人の名前
- 自分が取った行動
- 過去にも同じことがあったか
記録があれば、「いつも嫌な感じがする」という曖昧な説明ではなく、具体的な事実として学校や担当者へ伝えられます。
同じ言動が続いている場合は、状況がさらに悪化する前に相談することが大切です。完璧な証拠がそろうまで、一人で我慢する必要はありません。
マイクロアグレッションについて理解する
マイクロアグレッションとは、偏見や固定観念を含む日常的な発言や行動のことです。
露骨な暴言とは異なり、本人に悪意がない場合や、一見すると褒め言葉に聞こえる場合もあります。たとえば、外見だけを見て「英語が上手ですね」と驚かれることや、アジア系の人に対して「本当はどこの国の人ですか」と何度も尋ねることなどです。
ワシントン大学は、マイクロアグレッションについて、社会的に弱い立場に置かれた人へ偏見を示す日常的な発言や行動であり、意図的な場合と無意識の場合があると説明しています。
参考資料:University of Washington「Addressing microaggressions in class」
相手に悪意がないからといって、受けた側が不快に感じてはいけないわけではありません。
ただし、すべての質問や褒め言葉を差別と決めつけるのではなく、言われた状況、言い方、繰り返しの有無を確認しましょう。「What do you mean by that?」と意図を尋ねることで、相手が自分の発言を見直すきっかけになる場合もあります。
文化やコミュニケーション方法の違いも考える
海外では、日本と異なる接客態度やコミュニケーション方法に戸惑うことがあります。
店員が笑顔を見せない、先生が直接的に間違いを指摘する、友人が強い口調で意見を述べるといった行動は、必ずしも日本人への差別とは限りません。現地では、同じ態度を国籍に関係なく全員へ取っている可能性があるからです。
一方で、「文化の違いだから我慢しなければならない」と考えすぎることにも注意が必要です。
人種や国籍を侮辱された場合や、明らかに自分だけサービスを拒否された場合まで、文化の違いとして受け入れる必要はありません。
相手の態度だけではなく、発言の内容、扱いの違い、背景にある理由を分けて考えることが大切です。
判断できないときは第三者へ相談する
差別か文化の違いか判断できないときは、第三者へ相談して問題ありません。
相談する段階で「これは差別です」と断定する必要はありません。「このようなことがあり、不快に感じた」「自分では判断できないので意見を聞きたい」と伝えれば十分です。
相談相手としては、学校の先生、留学生サポート担当者、信頼できるクラスメート、ホストファミリー、留学エージェントなどが挙げられます。現地の文化を知っている人と、日本語で気持ちを話せる人の両方へ相談すると、状況を整理しやすくなります。
ただし、相談相手が「気にしすぎ」と言ったからといって、自分の違和感をすぐに否定する必要はありません。別の担当者にも意見を聞きましょう。
相談するときのポイント
「差別だったか判断してください」とだけ伝えるのではなく、実際に言われた言葉、相手の行動、発生した回数、周囲の状況を説明しましょう。事実と自分の気持ちを分けて話すと、相手も状況を判断しやすくなります。
英語で状況を説明する自信がない場合は、翻訳アプリやメモを見ながら話しても問題ありません。留学前に相談場面を練習したい方は、留学前におすすめの英語学習アプリも活用してみましょう。
差別かどうかを一人で証明してから相談する必要はありません。違和感を覚えた段階で誰かに話すことが、自分を守る最初の行動になります。
留学中に差別を受けたときの対処法
留学中に差別を受けたときは、相手を言い負かすことよりも、自分の安全を守ることが優先です。
安全な場所へ移動したあと、起きた出来事を記録し、学校や留学エージェントへ書面で報告しましょう。ここでは、差別を受けた直後から相談するまでの流れを順番に解説します。
危険を感じたら相手から離れて安全を確保する
差別的な発言を受けて危険を感じたら、その場で相手を説得しようとせず、すぐに距離を取りましょう。
人通りの多い場所、店舗、学校の受付、駅員や警備員がいる場所などへ移動してください。相手が興奮している場合や、複数人に囲まれている場合は、言い返すことで状況が悪化する可能性があります。
差別に対して何も言い返さずに離れることは、逃げでも負けでもありません。
安全を確保するための適切な判断です。一人でいる場合は、友人、ホストファミリー、学校、留学エージェントなどへ連絡し、現在地と状況を伝えましょう。
スマートフォンが使えない状況に備えて、学校や滞在先の電話番号を紙にも控えておくと安心です。渡航直後から通信手段を確保したい方は、留学におすすめのeSIMを比較した記事も確認しておきましょう。
最初に優先すること
相手の発言を録音したり、顔を撮影したりすることよりも、自分の安全を優先してください。証拠を残そうとして相手へ近づいたり、あとを追いかけたりしないことが大切です。
日時・場所・発言内容を記録する
安全な場所へ移動したら、記憶が新しいうちに出来事を記録しましょう。
時間がたつと、発言の順番や周囲の状況を思い出しにくくなります。「嫌なことを言われた」とだけ残すのではなく、日時、場所、相手、実際に言われた言葉などを具体的に書くことが大切です。
相手の英語を完全に聞き取れなかった場合は、分かった範囲の単語や音でも構いません。「正確ではない可能性がある」と添えて記録しておきましょう。
オーストラリア人権委員会も、人権侵害について申し立てる際は、何が起きたのか、いつ、どこで発生したのか、誰が関わったのかといった情報を集めるよう案内しています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Make a complaint about a human rights breach」
記録しておきたい項目
- 発生した日付と時刻
- 学校名・教室・店舗・駅などの場所
- 相手の名前や外見上の特徴
- 実際に言われた英語やされたこと
- 自分がどのように対応したか
- 周囲に目撃者がいたか
- 同じことが以前にもあったか
メモは感情と事実を分けて書くと、相談相手へ伝わりやすくなります。「怖かった」という気持ちだけでなく、「出口の前に立たれて移動できなかった」のように、何が起きたのかも記録しましょう。
メールやSNSのスクリーンショットを保存する
メール、SNS、チャットなどで差別的なメッセージを受け取った場合は、削除やブロックをする前に証拠を保存しましょう。
スクリーンショットには、メッセージ本文だけでなく、相手のアカウント名、投稿日時、プロフィール、会話の前後関係が分かる部分も含めます。URLを確認できる投稿であれば、ページのURLも保存してください。
オーストラリアのeSafety Commissionerは、オンライン上の被害を報告する際の証拠として、スクリーンショット、URL、アカウント名やプロフィールなどを保存するよう案内しています。
参考資料:eSafety Commissioner「How to collect evidence」
保存した画像は、スマートフォンの中だけでなく、クラウドや自分宛てのメールなどにも残しておくと安心です。ただし、証拠を何度も見返すと精神的な負担になることがあります。専用のフォルダへ移し、必要なときだけ確認できる状態にしましょう。
証拠を保存してから、SNSの通報・ミュート・ブロック機能を利用することがポイントです。
目撃者がいたら連絡先を確認する
差別的な発言や不公平な扱いを見ていた人がいる場合は、可能であれば連絡先を確認しましょう。
クラスメート、店員、通行人などの証言があれば、自分以外の視点からも出来事を説明できます。ただし、相手に協力を強制してはいけません。「必要になった場合に、見たことを説明してもらえるか」と丁寧に確認します。
その場で電話番号やメールアドレスを交換できない場合は、名前や所属だけでも聞いておきましょう。学校内で起きた出来事であれば、先生や学校の担当者を通して連絡できる可能性があります。
目撃者が協力してくれる場合は、何を見聞きしたのかを本人の言葉で書いてもらうことが大切です。自分が作成した文章へ無理に署名してもらうのではなく、内容に間違いがないか確認してもらいましょう。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| Did you see what happened? | 何が起きたか見ていましたか? |
| Could I have your contact details? | 連絡先を教えていただけますか? |
| Would you be willing to explain what you saw? | 見たことを説明していただけますか? |
連絡先を学校や警察などへ共有するときは、目撃者本人の了承を得ましょう。協力してくれた人の個人情報も慎重に扱う必要があります。
学校や留学エージェントへ書面で報告する
差別を受けたときは、口頭で相談するだけでなく、メールなどの書面でも報告しましょう。
口頭だけでは、いつ、誰に、どのような相談をしたのかが残りません。面談で相談した場合も、その後に「本日の面談でお伝えした内容を確認します」とメールを送り、話した内容を記録に残すことが大切です。
報告するときは、相手への怒りだけを書くのではなく、発生日時、場所、言われた言葉、目撃者、保存している証拠を整理します。そのうえで、自分が不安に感じていることと、学校に求める対応を伝えましょう。
留学エージェントを利用している場合は、学校への連絡方法、面談への同席、クラスや滞在先の変更について相談できます。ただし、対応範囲は会社や契約プランによって異なるため、契約内容も確認してください。
オーストラリア留学で現地サポートを重視したい方は、オーストラリア留学エージェントの比較記事も参考にしてください。
希望する対応と回答期限を明確に伝える
学校へ差別を報告するときは、出来事を説明するだけでなく、どのような対応を希望しているのかも伝えましょう。
「何とかしてください」だけでは、担当者が何をすべきか判断できない場合があります。相手との面談を避けたい、クラスを変更したい、担当者から注意してほしい、正式な調査をしてほしいなど、自分が求める対応を具体的に書いてください。
また、いつまでに返信がほしいのかも伝えます。期限を決めるときは、学校の営業日や緊急性を考慮しましょう。身の危険や住居の問題がある場合は、その日のうちに安全を確保するための対応を求めます。
学校へ希望できる対応例
- 担当者との個別面談を設定してほしい
- 相手と同じグループにならないようにしてほしい
- クラスやホームステイ先を変更してほしい
- 学校内で事実関係を確認してほしい
- 今後の対応手順を書面で説明してほしい
- 決めた期日までにメールで回答してほしい
希望した対応が必ず認められるとは限りません。しかし、自分が何に困り、どのような状態になれば安心できるのかを伝えることで、学校側も対応を検討しやすくなります。
暴力や脅迫がある場合は警察へ相談する
暴力、脅迫、つきまとい、器物損壊などがある場合は、学校内のトラブルだけで済ませず、現地の警察へ相談しましょう。
身体を押される、逃げ道を塞がれる、危害を加えると言われるなど、今すぐ危険が及ぶ可能性がある場合は緊急事態です。自分で相手を捕まえたり、証拠を撮影するために近づいたりしないでください。
オーストラリアでは、生命や財産が脅かされている場合や、重大な犯罪を目撃した場合は、緊急通報番号の「000」へ連絡します。電話では「Police」「Fire」「Ambulance」のうち、必要な機関と現在地を伝えます。
緊急ではない場合は、最寄りの警察署や現地の相談窓口を利用します。緊急番号や相談先は国によって異なるため、渡航前に確認してスマートフォンへ保存しておきましょう。
注意点
英語で詳しく説明できなくても、現在地と「Police, please.」「I am in danger.」などの短い英語を伝えることが重要です。安全な場所にいる場合は、学校の職員や現地の友人に通話を手伝ってもらいましょう。
留学中の差別に対応する英語フレーズ
留学中に差別的な言動を受けたときは、長く難しい英語で反論する必要はありません。
相手の意図を確認する表現、不快だと伝える表現、周囲へ助けを求める表現を数個覚えておくだけでも行動しやすくなります。ここでは、初心者でも使いやすい短い英語を場面別に紹介します。
相手の発言の意図を確認する英語
相手の発言が聞き取れなかった場合や、差別的な意味を含んでいるか判断できない場合は、まず意図を確認しましょう。
「What do you mean by that?」は、「それはどういう意味ですか」と確認する表現です。相手へ発言の意味を説明させることで、誤解だったのか、偏見を含んだ発言だったのかを判断しやすくなります。
ただし、相手が怒っている場合や危険を感じる場合は、質問せずに離れてください。意図を確かめることより、安全を守ることが優先です。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 | 使い方 |
|---|---|---|
| What do you mean by that? | それはどういう意味ですか? | 発言の意味を確認する |
| Could you explain what you meant? | どういう意味で言ったのか説明してもらえますか? | 丁寧に意図を尋ねる |
| Why did you say that? | なぜそのようなことを言ったのですか? | 発言の理由を尋ねる |
質問したあと、相手の返答もできるだけ正確に覚えておきましょう。その場でメモできない場合は、安全な場所へ移動してから記録してください。
不快に感じたことを伝える英語
相手の発言で不快な気持ちになったときは、「That comment made me uncomfortable.」と伝えられます。
「あなたは差別主義者です」と相手の人格を決めつけるよりも、「その発言によって自分がどう感じたか」を伝える方が、初心者にも使いやすい表現です。
「I felt hurt.」を使えば、「傷つきました」という気持ちも伝えられます。自分の気持ちを説明するときは、大きな声を出したり、難しい単語を使ったりする必要はありません。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| That comment made me uncomfortable. | その発言で不快な気持ちになりました。 |
| I felt hurt by what you said. | あなたの発言で傷つきました。 |
| I don't think that joke is appropriate. | その冗談は適切ではないと思います。 |
差別的な発言をやめてほしいと伝える英語
差別的な発言や冗談を繰り返されている場合は、やめてほしいことを明確に伝えましょう。
「Please don't say that to me again.」は、「私に二度とそのようなことを言わないでください」という意味です。さらに短く伝えるなら、「Please stop.」でも構いません。
英語を丁寧に話すことより、望んでいない行為を明確に示すことが大切です。
ただし、相手が聞き入れない場合は、何度も説得しようとしないでください。発言を記録し、先生や学校の担当者へ相談しましょう。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| Please stop. | やめてください。 |
| Please don't say that to me again. | 私に二度とそのようなことを言わないでください。 |
| That is not acceptable. | それは受け入れられません。 |
| Do not make comments about my nationality. | 私の国籍について発言しないでください。 |
一度伝えても行為が続く場合は、「I already asked you to stop.」と伝えられます。それでも改善しなければ、相手とのやり取りを終えて第三者へ相談してください。
不公平な扱いを受けたと伝える英語
国籍や人種を理由に、自分だけ異なる扱いを受けたと感じた場合は、事実と理由を分けて伝えましょう。
「I feel that I was treated differently.」は、「自分だけ違う扱いを受けたと感じます」という表現です。国籍が理由だと考えている場合は、「because of my nationality」を加えます。
ただし、理由が分からない段階で断定する必要はありません。「Could you explain why I was treated differently?」と確認すれば、相手側の説明を聞くことができます。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| I feel that I was treated differently. | 自分だけ違う扱いを受けたと感じます。 |
| I believe I was treated unfairly because of my nationality. | 国籍を理由に不公平な扱いを受けたと考えています。 |
| Why was I treated differently? | なぜ私は違う扱いを受けたのですか? |
| The same rule was not applied to other students. | ほかの学生には同じルールが適用されていませんでした。 |
学校へ報告するときは、「差別されたと思う」という結論だけでなく、ほかの学生との扱いにどのような違いがあったのかも説明しましょう。
周囲の人へ助けを求める英語
身の危険を感じたときや、一人で対応することが難しいときは、周囲の人へ助けを求めましょう。
「Could you help me?」だけでも、助けが必要なことは伝わります。相手から離れたいときは、「Could you stay with me for a moment?」と伝え、近くにいてもらう方法もあります。
店舗であれば店員、学校であれば先生や受付、駅であれば駅員や警備員など、立場が分かる人へ声をかけると対応につながりやすくなります。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| Could you help me? | 助けてもらえますか? |
| I need help. | 助けが必要です。 |
| Could you stay with me for a moment? | 少し一緒にいてもらえますか? |
| Could you get a staff member? | スタッフを呼んでもらえますか? |
文章が作れないときは、「Help」「Police」「I am in danger」のように単語と短文を組み合わせるだけでも構いません。完璧な英語を考えて黙ってしまうより、声を出して助けを求めることが重要です。
目撃者へ協力をお願いする英語
差別的な言動を見ていた人には、あとから学校や警察へ説明してもらえるか確認しましょう。
最初に「Did you see what happened?」と尋ね、相手が状況を見ていたか確認します。協力してもらえる場合は、氏名や連絡先を聞き、必要に応じて担当者から連絡してもよいか許可をもらってください。
その場で詳しい証言を書いてもらうことが難しい場合は、「何を見たかを短いメールで送ってもらえますか」とお願いする方法もあります。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| Did you see what happened? | 何が起きたか見ていましたか? |
| Would you be willing to be a witness? | 目撃者として協力してもらえますか? |
| Could you write down what you saw? | 見たことを書いてもらえますか? |
| May I share your contact details with the school? | あなたの連絡先を学校へ共有してもよいですか? |
目撃者が協力を断った場合は、責めたり無理に連絡先を聞いたりしてはいけません。目撃者がいたという事実と、分かる範囲の情報だけを記録しましょう。
学校や先生へ差別を報告する英語
学校へ相談するときは、最初に「報告したい出来事がある」と伝えましょう。
「I'd like to report an incident.」は、授業、休憩時間、寮などで起きた問題を報告するときに使えます。そのあとに、発生日時、場所、相手、言われたことを順番に説明します。
英語で口頭説明することが難しければ、事前にメモやメールを作り、担当者へ見せながら話しても問題ありません。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| I'd like to report an incident. | ある出来事を報告したいです。 |
| I believe this was discriminatory. | これは差別的だったと考えています。 |
| This has happened more than once. | これは一度だけではありません。 |
| I have screenshots and written records. | スクリーンショットと記録があります。 |
| Could I speak to the student support officer? | 学生サポート担当者と話せますか? |
学校の受付で詳しい内容を話したくない場合は、「It is a private and sensitive matter.」と伝え、個室や別の担当者との面談をお願いしましょう。
警察やスタッフへ緊急事態を伝える英語
暴力や脅迫などの緊急事態では、詳しい経緯を最初からすべて説明しようとしなくて大丈夫です。
まずは、危険な状態にあること、必要な機関、現在地を伝えます。「I am in danger.」や「This person is following me.」など、状況に合う短い英語を使いましょう。
電話では通信が切れる可能性もあるため、現在地を早い段階で伝えることが大切です。住所が分からない場合は、駅名、店舗名、交差点、近くの建物などを伝えます。
| 英語フレーズ | 日本語の意味 |
|---|---|
| I am in danger. | 危険な状況です。 |
| Please call the police. | 警察を呼んでください。 |
| This person threatened me. | この人に脅されました。 |
| This person is following me. | この人につきまとわれています。 |
| I am at Central Station near the main entrance. | 中央駅の正面入口付近にいます。 |
緊急時に英語を使えるか不安な方は、留学前に取り組みたい英語の勉強法を参考に、助けを求める表現から優先して練習しましょう。
留学先の学校へ差別を相談する英語メールの書き方
学校へ差別を相談するときは、感情的な長文を書くよりも、事実と希望する対応を順番に整理することが大切です。
件名、発生日時、相手の発言、証拠、希望する対応を分けて書けば、難しい英語を使わなくても内容が伝わります。ここでは、初心者でも作成できる相談メールの組み立て方を解説します。
メールの件名で相談内容を簡潔に伝える
メールの件名には、相談や報告に関する内容だと分かる英語を入れましょう。
「Help」や「Important」だけでは、担当者が何についてのメールなのか判断できません。一方で、事実関係が確認されていない段階から、相手の氏名を件名に入れて断定的に非難することも避けた方がよいでしょう。
使いやすい件名は、「Report of an Incident」や「Request for Support Regarding an Incident」です。差別的な言動だったと明確に考えている場合は、「Discriminatory Incident」という表現も使えます。
| 件名の例 | 日本語の意味 |
|---|---|
| Report of an Incident in Class | 授業中に起きた出来事の報告 |
| Request for Support Regarding an Incident | 出来事に関するサポートのお願い |
| Concern About a Discriminatory Comment | 差別的な発言に関する相談 |
| Request for a Confidential Meeting | 非公開の面談のお願い |
緊急性が高い場合は、「Urgent」を件名の先頭に付けます。ただし、通常の相談で毎回使うのではなく、安全や住居に関わる問題など、早急な対応が必要な場合に限定しましょう。
差別を受けた日時・場所・状況を説明する
メールの冒頭では、差別を受けた日時、場所、当時の状況を簡潔に説明します。
「Yesterday」や「last week」だけでは、担当者が正確な日時を確認しにくくなります。「On July 15 at around 2:00 p.m.」のように、日付とおおよその時刻を書きましょう。
場所についても、「at school」だけでなく、教室番号、共有スペース、学校の入口など、可能な範囲で具体的にします。
| 英語例文 | 日本語の意味 |
|---|---|
| The incident occurred on July 15 at around 2:00 p.m. | その出来事は7月15日の午後2時ごろに起きました。 |
| It happened in Classroom 3 during a group activity. | グループ活動中に3番教室で起きました。 |
| There were five other students in the room. | 教室にはほかに5人の学生がいました。 |
最初から自分の感想を長く書くのではなく、「いつ・どこで・どのような場面だったか」を先に示すと、担当者が出来事を確認しやすくなります。
相手から言われた言葉やされたことを書く
相手から言われた言葉は、覚えている範囲で具体的に書きましょう。
英語を正確に覚えている場合は、引用符を使って「He said, “○○.”」のように記載します。正確な文章を覚えていない場合は、無理に再現せず、「I do not remember the exact words, but...」と前置きして要点を説明してください。
また、発言だけでなく、された行動も書きます。目の形をまねされた、自分だけグループから外された、出口を塞がれたなど、第三者が状況をイメージできるように説明しましょう。
- 実際に言われた言葉を可能な範囲で記載する
- 正確に覚えていない部分は推測で補わない
- 相手の行動と自分が受けた影響を書く
- 同じ言動が繰り返されている場合は回数を書く
相手の人格を批判するのではなく、確認できる発言や行動を中心に書くことが重要です。「He is a terrible person.」ではなく、「He made the same comment three times.」のように事実を伝えましょう。
証拠や目撃者がいることを伝える
スクリーンショット、メール、写真、記録などを保存している場合は、学校へ伝えましょう。
最初のメールにすべて添付することもできますが、個人情報や第三者の情報が含まれている場合は、担当者へ安全な提出方法を確認する方がよいこともあります。
目撃者がいる場合は、本人の同意を得たうえで氏名や連絡先を共有します。目撃者が連絡先の共有を希望していない場合は、「There were witnesses.」とだけ伝え、学校側から確認する方法を相談しましょう。
| 英語例文 | 日本語の意味 |
|---|---|
| I have screenshots of the messages. | メッセージのスクリーンショットがあります。 |
| I wrote down the details immediately after the incident. | 出来事の直後に詳細を記録しました。 |
| Two classmates witnessed what happened. | 2人のクラスメートが出来事を目撃しました。 |
| I can provide the evidence if necessary. | 必要であれば証拠を提出できます。 |
添付ファイルには、「Screenshot_1」「Message_2」のように分かりやすい名前を付けます。本文中で、どの添付資料がどの出来事に対応しているのかも説明しましょう。
学校に希望する対応を具体的に伝える
差別を報告するメールでは、学校にどのような対応を希望するのかを明確にします。
クラス変更を希望するのか、担当者との面談を希望するのか、相手と接触しないよう配慮してほしいのかによって、学校が取るべき対応は異なります。
ただし、学校側の調査前に、特定の処分を必ず行うよう要求すると、話し合いが進みにくくなる場合があります。まずは自分の安全と学習環境を守るために必要な対応を伝えましょう。
| 英語例文 | 日本語の意味 |
|---|---|
| I would like to request a private meeting. | 個別の面談をお願いしたいです。 |
| I would like to move to another class. | 別のクラスへの変更を希望します。 |
| I do not feel safe being in the same group as this person. | この人と同じグループにいることに不安を感じます。 |
| Please explain what steps the school will take. | 学校が取る対応について説明してください。 |
「何をしてほしいか」だけでなく、「なぜその対応が必要なのか」も添えることがポイントです。たとえば、同じクラスにいることで授業へ参加できない場合は、その影響も説明しましょう。
返信や面談をお願いする英語で締める
メールの最後では、返信または面談を希望していることを伝えます。
「I look forward to hearing from you.」だけでも構いませんが、緊急性がある場合は、具体的な日付を示しましょう。「Could you please respond by July 18?」と書けば、7月18日までに返信してほしいと伝えられます。
期限を過ぎても返信がない場合は、元のメールを引用して再送し、受付や別の担当者にも確認してください。最初のメール、再送した日時、学校からの回答はすべて保存しておきましょう。
| 英語例文 | 日本語の意味 |
|---|---|
| Could we arrange a meeting as soon as possible? | できるだけ早く面談を設定できますか? |
| Could you please respond by July 18? | 7月18日までに返信していただけますか? |
| Please let me know who will handle this matter. | 誰がこの件を担当するのか教えてください。 |
| I look forward to your response. | ご返信をお待ちしています。 |
学校へ送る英語メール例文
Subject: Request for Support Regarding a Discriminatory Incident
Dear Student Support Team,
I am writing to report an incident that occurred on [date] at around [time].
The incident happened at [place] during [class, activity or situation].
[Name or description of the person] said, “[words that were said].”
They also [describe what the person did].
I felt uncomfortable and unsafe because I believe the comments and behaviour were related to my nationality or race.
I wrote down the details after the incident. I also have [screenshots, emails or other evidence].
[Name of witness] witnessed what happened and has agreed to speak with the school if necessary.
I would like to request [a private meeting, a class change or another specific response].
Could you please explain what steps the school will take and respond by [date]?
Thank you for your support.
Kind regards,
[Your name]
[Student number and class]
このテンプレートをそのまま送るのではなく、自分の状況に合わない部分は削除してください。断定できない内容は推測で補わず、「I believe」「I feel」などを使って、自分がどのように受け止めたのかを正確に伝えましょう。
留学中に差別を受けたときの相談先
留学中に差別を受けたときは、一人で相手と向き合おうとせず、状況に合った相談先を利用することが大切です。
学校内、滞在先、アルバイト先、公共の場所では、それぞれ適切な窓口が異なります。まず身近な担当者へ相談し、解決しない場合は責任者や公的機関へ段階的に相談しましょう。
語学学校や大学の留学生サポート担当者
学校内で差別的な発言や不公平な扱いを受けたときは、留学生サポート担当者へ相談しましょう。
学校によって名称は異なりますが、「International Student Support」「Student Services」「Student Welfare」などの窓口が設けられていることがあります。授業だけでなく、学生寮、ホームステイ、学校行事などに関する相談を受け付けている場合もあります。
相談するときは、発生日時、場所、相手の発言、目撃者、保存している証拠を整理しておきましょう。差別だったと断定できなくても、「国籍を理由に違う扱いを受けたように感じる」と伝えて問題ありません。
留学生サポート担当者は、最初に相談しやすい窓口の一つです。
オーストラリア政府の留学生向けサイトでも、教育機関、州・準州政府などが、留学生の健康、安全、生活に関する支援サービスを提供していると案内しています。
参考資料:Australian Government「Student support services」
担任・カウンセラー・学校責任者
普段から話している担任やカウンセラーも、留学中の差別について相談できる相手です。
授業中の発言やグループワークでの扱いに悩んでいる場合は、教室の状況を知っている担任へ相談すると、事実確認や席・グループの変更につながる可能性があります。精神的な負担が大きい場合は、学校のカウンセラーへ気持ちを話すことも大切です。
ただし、相談相手が問題に関係している場合や、話を真剣に聞いてくれない場合は、同じ担当者へ何度も訴え続ける必要はありません。学科責任者、校長、キャンパスマネージャーなど、より上の立場にいる人へ相談しましょう。
口頭で相談したあとは、面談の内容をメールで送ります。「本日の面談で、次の内容を相談しました」と記録を残すことで、学校側の対応をあとから確認できます。
身近な先生に相談して終わりにせず、誰が問題を担当するのかを明確にすることが重要です。
留学エージェントの現地サポート窓口
留学エージェントを利用している場合は、学校への相談と並行して、現地サポート窓口にも連絡しましょう。
英語で状況を説明することが難しいときに、伝え方を一緒に整理してもらえる可能性があります。学校との面談方法、クラス変更、転校、ホームステイ先の変更などについても相談できます。
ただし、すべての留学エージェントが同じサポートを提供しているわけではありません。現地オフィスの有無、営業時間、緊急時の連絡方法、学校との交渉範囲などは、契約内容によって異なります。
相談するときは、「差別されました」とだけ伝えるのではなく、いつ、どこで、誰から、何をされたのかを整理しましょう。そのうえで、「学校との面談に同席してほしい」「滞在先を変更できるか確認してほしい」など、希望するサポートを具体的に伝えます。
現地で相談できる体制を重視したい方は、オーストラリア留学エージェントの比較記事も参考にしてください。
ホストファミリーや学生寮の管理者
学校外で差別的な言動を受けた場合は、ホストファミリーや学生寮の管理者へ相談する方法もあります。
通学中や近所で嫌がらせを受けた場合、現地の事情を知るホストファミリーから、安全な通学経路や相談先を教えてもらえることがあります。学生寮内のトラブルであれば、寮の管理者やレジデントアシスタントへ報告しましょう。
一方で、ホストファミリーや寮の関係者から差別的な扱いを受けている場合は、本人に直接相談することが安全とは限りません。相手と同じ住居で生活しているため、関係が悪化すると安心して帰宅できなくなる可能性があります。
その場合は、先に学校の滞在先担当者や留学エージェントへ相談してください。緊急性が高いときは、友人宅や一時滞在先へ移動できるかも確認します。
滞在先で差別を受けたときの注意点
ホストファミリーとの契約や学生寮の規則を確認し、自分とほかの学生で条件が違う理由を整理しましょう。ただし、身の危険を感じる場合は、相手へ確認する前に安全な場所へ移動してください。
アルバイト先の上司や人事担当者
ワーキングホリデーや留学中のアルバイト先で差別を受けた場合は、直属の上司や人事担当者へ報告しましょう。
同僚から国籍や発音をからかわれた場合は、発言内容、発生した回数、周囲にいた人を記録します。上司から不公平な扱いを受けている場合は、さらに上の責任者や本社の人事窓口へ相談してください。
シフト、担当業務、給与、昇進などで違いがある場合は、最初に会社が説明している基準を確認します。業務経験や勤務可能時間など、合理的な理由がある場合もあるためです。
一方で、人種、肌の色、出身国などを理由に不利益な扱いを受けている場合は、職場内だけでなく公的な労働相談窓口も利用できます。オーストラリアでは、移民労働者や留学生にも基本的にほかの労働者と同じ職場の権利があると案内されています。
参考資料:Fair Work Ombudsman「I'm a migrant worker being treated unfairly」
職場へ相談したことを理由に不利益な扱いを受けた場合も、日時と内容を記録しておきましょう。
現地の警察や人権相談機関
暴力、脅迫、つきまとい、器物損壊などを伴う場合は、学校や勤務先への相談だけで終わらせず、現地の警察へ連絡しましょう。
今すぐ危険がある場合は、渡航先の緊急通報番号を利用します。危険が去ったあとでも、犯罪に当たる可能性がある場合は、最寄りの警察署へ相談してください。
また、国や地域によっては、人種差別や人権侵害に関する相談・苦情を受け付ける公的機関があります。オーストラリアでは、Australian Human Rights Commissionが、差別や人権侵害に関する相談と申立てを受け付けています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Make a complaint about a human rights breach」
ただし、人権機関への申立てと警察への被害申告は目的が異なります。暴力や脅迫がある場合は、先に安全確保と警察への連絡を優先しましょう。
- 今すぐ危険がある場合は緊急通報を利用する
- 発生日時・場所・相手の特徴を整理する
- 学校や勤務先に報告した記録も残す
- 人権相談機関の対象になる問題か確認する
- 制度は国や地域によって異なるため公式情報を確認する
日本大使館・総領事館
現地でどこへ相談すればよいか分からない場合は、日本大使館や総領事館へ相談できます。
在外公館では、事件や事故に巻き込まれた日本人への助言、現地の警察や医療機関に関する情報提供、弁護士や通訳者に関する情報提供などを行っています。現地の制度や相談先が分からないときに、解決方法を考えるための手掛かりを得られる可能性があります。
ただし、大使館や総領事館が学校や相手方へ処分を命じたり、私的な争いを仲裁したりするわけではありません。警察への被害届や学校への申立てを本人に代わって行う機関でもないため、できることとできないことを理解しておきましょう。
参考資料:外務省 海外安全ホームページ「海外で困ったら 大使館・総領事館のできること」
犯罪被害や安全上の不安があり、現地での相談先が分からない場合に頼れる窓口の一つです。
長期留学やワーキングホリデーでは在留届を提出し、短期滞在では「たびレジ」へ登録しておくと、緊急時の情報を受け取りやすくなります。
留学先の学校が差別に対応してくれないときの対処法
学校へ相談しても返事がない場合や、十分な対応をしてもらえない場合は、同じ方法で訴え続けるのではなく、相談先を一段階ずつ上げましょう。
記録を残し、学校の正式な手続きを確認したうえで、外部の教育機関や人権相談窓口を利用することが大切です。
口頭ではなくメールで再度報告する
先生や受付へ口頭で相談しても対応が進まない場合は、メールであらためて報告しましょう。
口頭で伝えただけでは、担当者が相談内容を記録していなかったり、別の職員へ引き継がれていなかったりする可能性があります。メールには、最初に相談した日付、相談相手、伝えた内容、その後の状況を書きます。
「先日相談しましたが、現在まで回答を受け取っていません」と伝え、返信してほしい日付も示しましょう。初回の報告メールがある場合は、同じメールを引用して返信する形にすると、経緯を確認しやすくなります。
学校を責める文章ではなく、対応状況を確認する文章にすることがポイントです。
たとえば、「I reported this incident on July 15, but I have not yet received an update.」と書けば、7月15日に報告したものの、まだ進捗連絡を受けていないと伝えられます。
送信したメール、学校からの返信、面談の日時は、すべて専用フォルダへ保存しておきましょう。
学校の正式な苦情申立て手続きを確認する
担当者へ相談しても解決しない場合は、学校が定めている正式な苦情申立て手続きを確認しましょう。
学校の公式サイトや学生ハンドブックで、「Complaints」「Grievance」「Appeals」「Discrimination」「Harassment」などの言葉を検索します。担当部署、提出方法、必要書類、回答までの期間などが記載されている場合があります。
通常の相談と正式な申立てでは、記録の残し方や担当者が異なることがあります。正式な手続きを利用すると、学校側に書面での回答や調査を求めやすくなります。
申立書には、感情的な表現を並べるのではなく、発生した事実、これまで相談した経緯、学校の対応、希望する解決策を順番に書きましょう。
正式な申立て前に整理する内容
- 差別的な言動が発生した日時と場所
- 相手の発言や行動
- 保存している証拠や目撃者
- これまで相談した担当者と日付
- 学校から受けた回答や対応
- 自分が希望する具体的な解決策
担当者より上の責任者へ相談する
最初の担当者が対応しない場合は、その人より上の責任者へ相談しましょう。
語学学校であれば、担当講師だけでなく、Academic Manager、Student Services Manager、Campus Manager、Principalなどが候補になります。大学では、学部責任者、学生支援部門、苦情受付部署などへ連絡します。
上の責任者へ相談するときは、「担当者が何もしてくれない」と感情的に批判するのではなく、相談した日付と、現在までに行われた対応を説明しましょう。
たとえば、「7月15日に担当者へ報告し、7月18日に再度メールを送りましたが、回答を受け取っていません」と書くと、対応が止まっている経緯が伝わります。
誰に相談したかだけでなく、学校内で誰が最終的な判断権を持っているのかを確認することが重要です。
同じ内容を多くの職員へ一斉送信すると、担当者が分からなくなる場合があります。責任者と正式な窓口を確認したうえで、必要な相手へ送信しましょう。
留学エージェントから学校へ連絡してもらう
学校へ自分で伝えても対応が進まない場合は、留学エージェントから連絡してもらえるか相談しましょう。
エージェントは学校との連絡窓口を持っている場合があり、学校内の担当部署や責任者を確認してもらえる可能性があります。また、英語で書いた報告内容に不足がないかを確認してもらうこともできます。
ただし、エージェントへすべてを任せるのではなく、自分が学校へ送ったメールや証拠を共有し、希望する対応を明確に伝えましょう。学校から自分へ直接連絡が来た場合も、返信内容をエージェントと共有します。
現地サポートを重視する方は、申し込み前にトラブル時の対応範囲を比較することが大切です。詳しくは、オーストラリア留学エージェントの選び方も確認してみてください。
現地の教育機関や人権相談窓口へ相談する
学校内の苦情申立てを利用しても解決しない場合は、現地の外部機関へ相談する方法があります。
利用できる機関は、国、地域、学校の種類、在籍しているコースによって異なります。オーストラリアでは、高等教育機関に関する学生の苦情を扱うNational Student Ombudsmanや、一定の私立教育機関に関する留学生の相談を扱うCommonwealth Ombudsmanなどがあります。
参考資料:Australian Government「Legal rights and protections」
参考資料:Commonwealth Ombudsman「International student complaints」
人種や国籍に関する差別であれば、人権機関へ相談できる場合もあります。ただし、どの機関が対象になるかは学校の種類や問題の内容によって異なるため、最初に相談内容を説明し、適切な窓口か確認しましょう。
外部機関へ相談する前に、学校へ報告した記録と学校からの回答を整理しておくことが重要です。
クラス・学校・滞在先の変更を検討する
差別的な環境が改善されず、安心して勉強や生活を続けられない場合は、クラス、学校、滞在先の変更も検討しましょう。
「途中で環境を変えるのは逃げではないか」と悩む方もいます。しかし、問題のある場所で我慢を続け、授業へ行けなくなったり、体調を崩したりすれば、留学の目的を達成しにくくなります。
まずは、クラス変更、時間割変更、ホームステイ先変更など、負担の少ない方法から相談します。それでも安全が確保できない場合は、転校や一時的な帰国も選択肢です。
ただし、学校変更は、授業料、返金条件、学生ビザ、出席率、入学許可などに影響する可能性があります。自分だけで退学手続きを進めず、学校、留学エージェント、必要に応じて移民制度の専門窓口へ確認してください。
環境を変えることも対処法の一つ
留学を最後まで続けることだけが成功ではありません。自分の安全と心身の状態を優先し、安心して学べる場所へ移ることも前向きな判断です。
留学前にできる差別やトラブルへの備え
差別を完全に防ぐことはできませんが、困ったときに相談できる準備はできます。
学校の対応方針、緊急連絡先、通信手段、英語フレーズなどを渡航前に確認しておけば、突然のトラブルでも落ち着いて行動しやすくなります。
学校の差別・ハラスメント対応方針を確認する
留学先を決める前に、学校が公開している差別・ハラスメントへの対応方針を確認しましょう。
学校の公式サイトで、「Discrimination Policy」「Harassment Policy」「Student Complaints」「Code of Conduct」などを検索します。相談窓口、申立て方法、調査の流れ、再発防止策が具体的に書かれている学校であれば、トラブル時に行動しやすくなります。
規定が掲載されていても、内容が分かりにくい場合は、入学前の問い合わせで確認してください。「差別やハラスメントを受けた場合、どの部署へ相談できますか」と尋ねるだけでも、学校の対応姿勢を確認できます。
授業料や立地だけでなく、学生を守る仕組みも学校選びの基準にすることが大切です。
学校が「差別を認めない」と宣言しているだけでなく、報告フォームや相談担当者を明示しているかも確認しましょう。
日本語で相談できる窓口があるか確認する
英語で差別やトラブルの状況を説明することに不安がある方は、日本語で相談できる窓口があるか確認しましょう。
学校に日本人スタッフがいなくても、通訳サービスを利用できる場合や、留学エージェントを通して相談できる場合があります。現地オフィス、24時間緊急窓口、オンライン相談など、利用方法も確認してください。
ただし、「日本語対応あり」と書かれていても、受付時間が限られていることがあります。平日の営業時間、土日や夜間の対応、緊急時の連絡方法まで確認すると安心です。
日本語サポートで確認したいこと
- 日本語で相談できる曜日と時間
- 現地オフィスの有無と所在地
- 夜間や休日の緊急連絡先
- 学校との面談へ同席してもらえるか
- 滞在先やクラス変更を相談できるか
日本語窓口がない場合も、翻訳アプリや英語メールのテンプレートを使えば相談できます。重要なのは、英語に自信がないことを理由に問題を抱え込まないことです。
現地の緊急連絡先をスマートフォンへ保存する
留学前に、現地の緊急通報番号と、身近な相談先をスマートフォンへ保存しましょう。
警察、救急、消防の番号だけでなく、学校の緊急窓口、留学エージェント、滞在先、海外保険会社、日本大使館・総領事館なども登録します。名前は日本語だけでなく、「School Emergency」「Police」など、緊急時にすぐ見つけられる表記にすると便利です。
スマートフォンを紛失したり、充電が切れたりする可能性もあります。そのため、重要な連絡先は紙にも書き、財布やパスポートのコピーと一緒に保管しましょう。
外務省の海外安全ホームページでは、留学中の安全対策や在外公館に関する情報が案内されています。
参考資料:外務省 海外安全ホームページ「海外留学/海外修学旅行」
緊急時に検索して調べるのではなく、渡航前に登録しておくことが重要です。
トラブル時に使う英語フレーズを準備する
差別やトラブルへ備えるために、長い英文を暗記する必要はありません。
「やめてください」「助けが必要です」「先生に相談したいです」など、自分が使う可能性の高い短いフレーズを準備しましょう。緊張すると、普段は知っている英単語でも出てこなくなるためです。
- Please stop.「やめてください」
- I need help.「助けが必要です」
- I don't feel safe.「安全ではないと感じます」
- Could I speak to a teacher?「先生と話せますか?」
- I'd like to report an incident.「出来事を報告したいです」
フレーズはスマートフォンのメモに保存し、インターネットにつながらなくても見られる状態にします。自分の学校名、住所、緊急連絡先も同じページにまとめておくと、周囲の人へ画面を見せながら助けを求められます。
オンライン英会話で相談場面を練習する
差別やトラブルについて英語で相談できるようになるには、実際の場面を想定した会話練習が効果的です。
オンライン英会話の講師に学校職員の役をしてもらい、「授業中に不快な発言を受けた」「クラスを変更したい」と伝える練習をします。最初からすべて英語で説明できなくても、事前に作ったメモを読みながら話して構いません。
1回目は文章を見ながら話し、2回目はキーワードだけを見て説明します。最後に講師から質問してもらうと、学校の面談に近い練習ができます。
留学前の会話練習に使えるサービスは、留学前におすすめのオンライン英会話で比較できます。
いつでも連絡できる海外SIMを用意する
留学中の安全対策として、外出先でも連絡できる通信環境を準備しましょう。
差別やトラブルを受けたときは、学校や友人へ電話したり、現在地を共有したり、地図で安全な場所を探したりする必要があります。無料Wi-Fiだけに頼っていると、必要な場所で通信できない可能性があります。
渡航前にeSIMを設定しておけば、現地到着後すぐに通信を開始できるサービスもあります。ただし、利用できる国、対応端末、データ容量、電話番号の有無はサービスによって異なります。
安さだけではなく、通信エリアとサポート方法を確認して選ぶことが大切です。
緊急通報はSIMや通信契約がなくても利用できる国がありますが、学校やエージェントとの通常連絡には通信環境が必要です。留学期間や渡航先に合うプランは、留学におすすめのeSIM比較で確認してみてください。
海外保険の緊急サポート内容を確認する
海外保険へ加入する際は、保険金額だけでなく、緊急時のサポート内容も確認しましょう。
差別そのものが補償の対象になるとは限りませんが、暴力によるケガ、医療機関の受診、携行品の損害などが発生した場合に補償を利用できる可能性があります。通訳サポートや提携医療機関の案内を受けられる契約もあります。
渡航前に、保険証券番号、緊急連絡先、連絡方法、必要な書類を確認してください。保険会社へ連絡する前に治療費を支払った場合、診断書や領収書が必要になることもあります。
外務省も、海外では事件、事故、病気などにより多額の費用が発生する可能性があるとして、補償内容を確認した海外旅行保険への加入を案内しています。
参考資料:外務省 海外安全ホームページ「海外旅行を予定されている皆様へ」
保険の適用条件は契約によって異なるため、困ったときは自己判断せず保険会社へ確認しましょう。
現地サポートがある留学エージェントを選ぶ
差別や生活トラブルへの不安が強い方は、現地サポートを提供している留学エージェントを選ぶ方法があります。
比較するときは、「サポートが充実」という表現だけで判断せず、現地オフィスの場所、営業時間、日本語スタッフの有無、緊急時の連絡方法を確認しましょう。クラス変更、ホームステイ先変更、学校との面談など、どこまで対応してもらえるかも重要です。
| 確認項目 | チェックする内容 |
|---|---|
| 現地窓口 | オフィスの有無・場所・営業時間 |
| 日本語対応 | 対応できる時間・連絡方法 |
| 学校トラブル | 面談同席や学校への連絡の可否 |
| 滞在先 | ホームステイ先変更の条件 |
| 緊急時 | 夜間・休日の連絡先 |
留学費用だけでなく、困ったときに誰へ相談できるかまで比較することが大切です。
エージェントごとの違いを確認したい方は、オーストラリア留学エージェントのおすすめ比較も参考にしてください。
留学中の差別に対応する英語を身につける方法
トラブル対応の英語は、単語帳を読むだけでは、とっさに使えるようになりにくい分野です。
自分が遭遇しそうな場面に絞り、短いフレーズを声に出して練習しましょう。ここでは、初心者でも続けやすい具体的な練習方法を紹介します。
自分が使いそうな英語フレーズを保存する
最初に、留学中に使う可能性が高い英語フレーズを10個程度に絞りましょう。
多くの例文を保存しても、緊急時に必要な表現を探せなければ役立ちません。「相手へやめてほしいと伝える」「周囲へ助けを求める」「学校へ報告する」という3つの場面に分けると整理しやすくなります。
フレーズは英語と日本語だけでなく、どの場面で使うのかも一緒に記載してください。たとえば、「I don't feel safe.」の横に「学校・寮・街中で危険を感じたとき」と書きます。
スマートフォンのメモをホーム画面からすぐ開けるようにし、オフラインでも確認できる状態にしましょう。紙のカードにも印刷して、財布やパスポートケースへ入れておくと安心です。
覚えるフレーズを増やすより、少ないフレーズを迷わず使える状態にすることが大切です。
短い英語で助けを求める練習をする
緊急時には、文法的に完璧な英文を作ることより、状況を短く伝えることが重要です。
「I need help.」「Please call the police.」「This person is following me.」のように、主語と動詞を含む短文から練習しましょう。場所を伝える練習も必要です。
練習するときは、30秒以内に次の3点を伝えます。
- 何が起きているのか
- どこにいるのか
- 何をしてほしいのか
たとえば、「A man is following me. I am near the station. Please call the police.」のように伝えます。細かい経緯は、安全を確保したあとに説明すれば問題ありません。
タイマーを使って繰り返すと、緊張している場面でも必要な情報を短くまとめる練習になります。
オンライン英会話でロールプレイをする
一人でフレーズを音読できるようになったら、オンライン英会話でロールプレイを行いましょう。
講師に「学校の留学生サポート担当者」「店員」「目撃者」などの役をお願いし、自分は差別的な言動を報告する留学生役になります。実際の面談では質問を受けるため、文章を読むだけでなく、相手の質問に答える練習が必要です。
おすすめの練習順は次のとおりです。
ロールプレイの進め方
- 日本語で状況を整理する
- 英語のメモを見ながら説明する
- 講師から日時や場所を質問してもらう
- 希望する対応を英語で伝える
- 伝わりにくかった表現を修正する
同じ場面を複数回練習すると、使う表現が定着します。毎回違う教材へ進むより、一つの相談場面を見ずに話せるまで繰り返す方が実践的です。
詳しくは、留学前におすすめのオンライン英会話も確認してみてください。
英語学習アプリで発音とスピーキングを練習する
毎日短時間で練習したい方は、発音やスピーキングに対応した英語学習アプリを活用しましょう。
トラブル時の英語は、意味を知っているだけでなく、相手に聞き取ってもらう必要があります。特に「hurt」「threatened」「following」「police」など、緊急時に使う単語は音声を聞いて発音しておきましょう。
アプリを使うときは、表示された英文を繰り返すだけで終わらせず、自分の状況に置き換えます。「I am at the station.」の場所を、学校名、滞在先、近所の店舗名などへ変更して練習してください。
スピーキング練習に使えるサービスは、留学におすすめの英語学習アプリで比較できます。
学校への相談メールを事前に作成しておく
留学前に、学校へ相談する英語メールのひな型を作成しておきましょう。
実際に差別を受けた直後は、ショックや怒りで文章を整理できない可能性があります。件名、挨拶、発生日時、場所、相手の発言、証拠、希望する対応という項目をあらかじめ用意しておけば、必要な部分を置き換えるだけで送信できます。
ただし、架空の内容を入れたまま誤送信しないよう、下書きには「[DATE]」「[PLACE]」「[WHAT HAPPENED]」などの置き換え箇所を明確に残してください。
相談メールの基本構成
Subject: Request for Support Regarding an Incident
Dear Student Support Team,
I would like to report an incident that occurred on [DATE] at [PLACE].
[WHAT HAPPENED]
I have [EVIDENCE OR WITNESS INFORMATION].
I would like to request [ACTION YOU WANT THE SCHOOL TO TAKE].
Could you please respond by [DATE]?
Kind regards,
[YOUR NAME]
事前に準備する目的は、差別を受けると決めつけることではなく、困ったときに落ち着いて相談できるようにすることです。
作成したメールは自分宛てに送信し、スマートフォンとパソコンの両方から確認できるようにしておきましょう。
留学中に差別を受けたあと留学生活を立て直す方法
差別を受けたあとは、出来事が終わっても、不安や悔しさが残ることがあります。
無理に気持ちを切り替える必要はありません。信頼できる人へ相談し、安全に過ごせる環境を整えながら、今後の留学生活をどうしたいか考えていきましょう。
信頼できる人に出来事を話す
差別を受けたあとは、一人で抱え込まず、信頼できる人に出来事を話しましょう。
相談相手は、家族、友人、先生、留学生サポート担当者、留学エージェントなどです。すぐに解決策が見つからなくても、言葉にすることで、何が起きたのかを整理しやすくなります。
相談するときは、差別だったかどうかを自分だけで判断する必要はありません。「このようなことを言われて不安になった」「学校へ行くのが怖くなった」と、事実と気持ちをそのまま伝えてください。
相手から「気にしすぎではないか」と言われても、自分の感じた不安まで否定する必要はありません。話を聞いてもらえない場合は、別の先生やサポート担当者へ相談しましょう。
相談相手は一人に限定せず、安心して話せる人を探すことが大切です。
一人で自分を責めないようにする
差別的な言動を受けても、「自分の英語が下手だったから」「もっと明るく話せばよかった」と自分を責める必要はありません。
英語力や性格は、相手が国籍や外見を理由に侮辱したり、不公平に扱ったりしてよい理由にはならないからです。英語で言い返せなかったとしても、その場で安全を優先した判断は間違いではありません。
出来事を振り返るときは、「自分の何が悪かったのか」ではなく、「何が起きたのか」「今後どのような支援が必要か」を考えましょう。
食欲がない、眠れない、授業へ行くのが怖いなど、生活への影響が続く場合は、学校のカウンセラーや医療機関へ相談することも大切です。オーストラリア政府の留学生向け情報でも、学校のカウンセラー、医師、ピアサポートなどの利用が案内されています。
参考資料:Australian Government「Student health and wellbeing support」
覚えておきたいこと
差別を受けた側が、相手の偏見まで背負う必要はありません。英語でうまく対応できなかった自分を責めるのではなく、安全な場所へ移動し、誰かに相談できたことを大切にしましょう。
安心して過ごせるコミュニティを探す
差別を受けたあとは、安心して交流できるコミュニティを持つことが留学生活の立て直しにつながります。
同じ学校の友人だけでなく、趣味のサークル、スポーツクラブ、地域の国際交流イベント、日本人留学生の集まりなどにも参加してみましょう。複数の居場所があれば、一つの人間関係で問題が起きても孤立しにくくなります。
ただし、日本人だけの環境に閉じこもらなければならないわけではありません。国籍にかかわらず、自分の話を尊重して聞いてくれる人や、安心して意見を言える人との関係を少しずつ増やすことが大切です。
最初から大人数のイベントへ参加することが不安な場合は、クラスメート一人と昼食を取る、小規模な交流会へ行くなど、負担の少ない行動から始めましょう。
留学中の居場所を学校や滞在先の一つだけにしないことがポイントです。
- 学校の留学生向けイベントへ参加する
- 趣味やスポーツのコミュニティを探す
- 地域の国際交流イベントへ参加する
- 安心して話せる友人と定期的に会う
- 学校外にも相談できる人をつくる
クラス・滞在先・勤務先の変更を検討する
同じ相手から差別的な言動が続く場合は、クラス、滞在先、勤務先などの環境を変えることも検討しましょう。
相手の考え方を変えようとして、自分だけが我慢を続ける必要はありません。クラス変更やグループ変更によって接触を減らすだけでも、安心して授業を受けられる可能性があります。
ホームステイ先や学生寮で問題が起きている場合は、学校の滞在先担当者や留学エージェントへ相談します。アルバイト先で改善が見込めない場合は、勤務日や配属先の変更、別の仕事への転職も選択肢です。
ただし、退学、転校、退職、転居を急いで決めると、学費、家賃、ビザ、出席率などに影響する場合があります。契約や制度を確認し、学校やエージェントへ相談してから手続きを進めましょう。
環境を変えることは逃げではなく、自分の安全と留学の目的を守るための行動です。
留学を続けることだけを正解にしない
差別を受けたあと、留学を続けることだけが正解ではありません。
クラスや滞在先を変えて続ける方法もあれば、学校を変更する方法、一時的に休む方法、帰国する方法もあります。大切なのは、周囲からどう見られるかではなく、自分が安全に生活できるかどうかです。
「せっかくお金を払ったから」「途中で帰ったら失敗になる」と考え、心身の負担を我慢し続ける必要はありません。留学期間を最後まで過ごしても、健康を崩してしまえば、その後の生活や英語学習にも影響します。
一方で、一度の出来事だけで、すぐに留学全体を諦めなければならないわけでもありません。信頼できる人と相談し、環境を変えれば続けられるのか、安全を確保できないのかを整理しましょう。
留学の成功は期間だけで決まらない
留学を続ける、環境を変える、帰国するという選択に、誰にでも共通する正解はありません。自分の安全と心身の状態を優先して決めることが、次の一歩につながります。
留学中の差別に関するよくある質問
留学中の差別については、国ごとの違い、言い返し方、証拠の残し方など、多くの疑問があります。
ここでは、留学前の方や実際に困っている方から想定される質問へ回答します。状況によって適切な対応は異なるため、安全を最優先に判断してください。
差別を受けやすい国はありますか?
特定の国を「差別を受けやすい国」と一括りにすることはできません。
同じ国でも、都市、地域、学校、滞在先、職場によって環境は異なります。また、一人の留学生が差別を経験したからといって、その国に住むすべての人が差別的だとは限りません。
留学先を選ぶときは、国別の体験談だけでなく、学校の留学生比率、差別・ハラスメントへの対応方針、相談窓口、現地サポートなどを確認しましょう。多文化共生を掲げていても、相談手続きが不明確な学校では、トラブル時に困る可能性があります。
SNSでは深刻な経験が注目されやすいため、一つの投稿だけで判断しないことも大切です。複数の体験談と公的機関の情報を確認し、自分に必要なサポートがあるかを基準に選びましょう。
国のイメージより、困ったときに相談できる環境があるかを確認することが重要です。
差別的な発言には言い返した方がよいですか?
差別的な発言へ必ず言い返さなければならないわけではありません。
相手が落ち着いていて、安全に会話できる状況であれば、「That comment made me uncomfortable.」と不快だったことを伝える方法があります。発言の意図が分からない場合は、「What do you mean by that?」と確認してもよいでしょう。
一方で、相手が興奮している、複数人に囲まれている、暴力の可能性があるといった状況では、言い返さずに離れてください。反論することで危険が高まる可能性があります。
その場で何も言えなかったとしても、差別を認めたことにはなりません。安全な場所へ移動したあと、発言内容を記録し、学校や警察などへ相談できます。
英語が話せなくても学校へ相談できますか?
英語に自信がなくても、学校へ相談できます。
難しい文章をその場で話す必要はありません。日時、場所、言われたこと、希望する対応を簡単な英語でメモし、担当者へ見せながら説明しましょう。翻訳アプリを使ったり、信頼できる友人や留学エージェントに同席してもらったりする方法もあります。
最初は、「I'd like to report an incident.」と伝えるだけでも構いません。そのあとに、事前に用意したメールやスクリーンショットを見せれば、状況を説明しやすくなります。
学校に日本語スタッフがいない場合は、通訳を利用できるか確認しましょう。英語での面談が難しいこと自体も、担当者へ伝えて問題ありません。
英語が完璧になるまで相談を待つ必要はありません。
留学前に相談場面を練習したい方は、留学前におすすめのオンライン英会話も活用してみてください。
差別か分からない段階でも相談してよいですか?
差別かどうか判断できない段階でも、学校や信頼できる人へ相談して問題ありません。
相談するときに、「差別だったと認めてほしい」と最初から断定する必要はありません。「国籍に関係する発言をされ、不快に感じた」「自分だけ扱いが違うように感じる」と、起きたことを伝えましょう。
第三者へ話すことで、文化の違い、学校のルール、相手とのコミュニケーション不足など、別の可能性も整理できます。一方で、同じ言動が繰り返されている場合や、国籍を理由とする発言があった場合は、早めに記録を残すことが大切です。
「証拠が十分ではないから相談できない」と考える必要もありません。学校側へ事実確認を依頼し、今後同じことが起きた場合の対応を相談できます。
相談時の伝え方
「差別かどうか自分では判断できませんが、このような出来事があり、不安を感じています」と伝えましょう。結論ではなく、実際の発言や行動を具体的に説明することが大切です。
差別を受けた相手を録音・撮影してもよいですか?
相手を無断で録音・撮影してよいかどうかは、国や地域の法律、場所、撮影方法によって異なります。
同じ国でも、州や地域によって会話の録音に関するルールが違う場合があります。学校や学生寮の規則で、授業中や施設内の撮影が禁止されていることもあります。そのため、証拠が必要だからといって、無断録音や撮影を一律におすすめすることはできません。
まずは、日時、場所、発言内容、目撃者を文章で記録しましょう。SNSやメールによる差別であれば、相手のアカウント名、投稿日時、URLが分かるスクリーンショットを保存します。
オーストラリアのeSafety Commissionerも、オンライン上の有害な内容を報告する証拠として、スクリーンショットや画面の写真を保存する方法を案内しています。
参考資料:eSafety Commissioner「How to collect evidence」
危険な相手へカメラを向けると状況が悪化する可能性があるため、安全を優先してください。録音や撮影を検討するときは、現地の公的な法律相談窓口などへ確認しましょう。
学校へ相談したことを相手に知られませんか?
学校へ相談した内容が、必ず相手に知られないとは限りません。
学校が事実確認や調査を行う場合、相手に対して、どのような申立てがあったのかを説明する必要が生じることがあります。一方で、適切な苦情対応では、情報を問題への対応に必要な人だけに共有することが基本です。
オーストラリア人権委員会の苦情対応ガイドラインでも、苦情に関する情報は、対応のために知る必要がある人に限って提供するという考え方が示されています。
参考資料:Australian Human Rights Commission「Good practice guidelines for internal complaint processes」
相談前に、「どの情報が相手へ共有されますか」「自分の名前を伏せて相談できますか」「相手からの報復を防ぐためにどのような対応がありますか」と確認しましょう。
| 確認する英語 | 日本語の意味 |
|---|---|
| Will my name be shared with the other person? | 私の名前は相手に共有されますか? |
| Who will have access to this information? | 誰がこの情報を確認しますか? |
| Can I speak to someone confidentially first? | まず秘密を守った状態で相談できますか? |
匿名相談ができても、正式な調査には氏名の共有が必要になる場合があります。学校の手続きを確認してから、どの段階まで進めるか考えましょう。
差別が怖くて留学を迷っている場合はどうすればよいですか?
差別への不安だけで、すぐに留学を諦める必要はありません。
一方で、「実際に行けば何とかなる」と準備せずに渡航するのもおすすめできません。学校の相談体制、現地の緊急連絡先、日本語サポート、通信手段などを確認し、困ったときに取る行動を決めておきましょう。
不安が強い場合は、最初から長期留学を選ばず、短期留学やオンライン英会話から始める方法もあります。現地サポートのある留学エージェントへ相談し、学校や滞在先の環境について具体的に質問することも有効です。
また、差別に関する体験談だけでなく、留学中に得られる学び、多文化交流、英語を実際に使った経験なども含めて判断しましょう。
リスクを知らずに渡航するのではなく、リスクを理解して準備したうえで挑戦することが大切です。
留学先の選び方に不安がある方は、オーストラリア留学エージェントの比較記事も参考にしてください。
まとめ|留学中の差別は一人で抱え込まず安全を優先しよう
留学中に差別を受けたときは、その場で相手を言い負かそうとせず、自分の安全を最優先にしましょう。
安全な場所へ移動したら、日時、場所、発言内容、目撃者などを記録します。そのうえで、学校、留学エージェント、勤務先、公的な相談機関など、状況に合った相手へ相談してください。
- 危険を感じたら相手から離れる
- 出来事の日時・場所・発言を記録する
- 英語で言い返せなかった自分を責めない
- 学校や留学エージェントへ書面で報告する
- 対応されない場合は上位窓口や公的機関へ相談する
- 環境が改善されない場合はクラスや滞在先の変更を検討する
差別を受けた側の英語力や性格に責任があるわけではありません。英語が流暢でなくても、短い言葉、翻訳アプリ、メールなどを使って助けを求められます。
また、留学を続けることだけが正解ではありません。環境を変える、一時的に休む、帰国するという選択も含めて、自分が安心して生活できる方法を選びましょう。
留学前に英語で相談する練習をしておきたい方は、留学前におすすめのオンライン英会話や、留学におすすめの英語学習アプリも活用してみてください。
差別や不公平な扱いを我慢することは、留学生活に必要な経験ではありません。一人で抱え込まず、安心できる人と場所を頼りながら、自分の安全を守っていきましょう。